デビッド・ウレビッチは、グーグルのような企業の「ブルシット・ジョブ」や「フェイクワーク」についての発言は、彼の発言の中でも最も物議を醸さないものだとBusiness Insiderに語った。
OpenDNS
- 巨大テック企業における「フェイクワーク」をめぐる議論に、アンドリーセン・ホロウィッツのゼネラルパートナーであるデビッド・ウレビッチが加わった。
- デビッド・ウレビッチは、「グーグルのホワイトカラースタッフの半分は、おそらく本当の仕事をしていない」と述べている。
- 他のベンチャーキャピタルも同様の発言をしており、グーグルやメタのようなテック企業は近年大量解雇を行っている。
シリコンバレーの有名企業アンドリーセン・ホロウィッツの投資家が、テック業界の「フェイクワーク」をめぐる議論に加わった。
アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)のジェネラル・パートナーであるデビッド・ウレビッチ(David Ulevitch)は、2024年5月6日、サブスタック(Substack)のニュースレター「フィード・ミー(Feed Me)」に掲載されたエミリー・サンドバーグ(Emily Sundberg)とのインタビューの中で、グーグル(Google)は、「ブルシット・ジョブ」で社員を雇用している企業の「驚くべき例」であると述べた。
「従業員数1万人以上のホワイトカラー企業で働く人なら誰でも、明日にでも解雇できる人が大勢いることを知っている。会社はあまり違いを感じないだろうし、おそらく物事に関与する人が減ることで、状況は改善されるだろう」
ウレビッチは以前、ウェブセキュリティのスタートアップであるOpenDNSのCEOを務めていたが、2015年に6億3500万ドル(約984億円、1ドル155円換算)でシスコ(Cisco)に売却している。
「アメリカではプロの管理職層が増えており、さらに重要なのは、そうした仕事が『本当に重要』であるという社会的な認識は、強みではなく弱みということだ」と彼は付け加えた。
「私は自分のキャリアの中でこのクラスに参加してきたが、それは素晴らしいものだった。私がシスコのシニアバイスプレジデントだった時、人々は私をとても印象的で重要な存在であるかのように扱ってくれたから、当然私もそう思っていた。この力関係は企業全体に蔓延していて、それはお粗末なものだ」
ウレビッチは「アメリカの産業や製造業の基盤を支える中小企業の衰退」がその影響の一つだと指摘している。こうした産業に従事する人々が高齢化して労働力を失い、その職は海外にアウトソーシングされ、これらの仕事はホワイトカラーの仕事よりも好まれないとみなされているという。彼はまた、以下のような影響も指摘している。
「大企業におけるブルシット・ジョブのもう一つの問題は、アメリカの年金受給者や退職金口座であることが多い株主から利益を奪ってしまうことだ」とウレビッチは言う。
「つまり、こうした人々は、役に立たずなだけでなく(役立たずの仕事が重要なのだと思い込まされているが実際はそうではない)、他の労働者の退職金からも金を奪い取っている」
ウレビッチはさらにグーグルを「驚くべき例」と呼んで具体的に避難している。
「グーグルのホワイトカラーの社員の半数は、おそらくまともな仕事をしていないだろうと考えるのは、おかしなことではないと思う」とウレビッチは言う。
「グーグルはこの10年以上、何の役にも立たないプロジェクトに年間何十億ドルもの資金を費やしてきた。その資金はすべて、退職金口座を持っている株主に還元できたはずだ」
グーグルにコメントを求めたが直ちに回答は得られなかった。ウレビッチはメールでのBusiness Insiderの取材に対し、「私が唯一のコメントは、私がこれまでに述べたことの中で、これは最も物議を醸さないものの一つに数えられると思うということだ」と述べた。
他のベンチャーキャピタルもまた、近年の巨大テック企業における「フェイクワーク」や過剰な人員配置に関する議論に加わっている。
ソフトウェア開発者で投資家のマーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)は経営上の「ラップトップ・クラス( Laptop Class )」を批判しており、2022年に彼は「優れた大企業は2倍の人員で過剰になっている。悪い大企業は4倍かそれ以上の人員過剰だ」とTwitter(当時)に投稿している。
テック企業の投資家であり、ペイパルマフィア(PayPal Mafia)のメンバーでもあるキース・ラボワ(Keith Rabois)は、メタ(Meta)とグーグルの大量解雇は人員過剰がその原因だと2023年に指摘している。
「これらの人々はすべて余計な人たちだったし、長い間そうだった。従業員を雇うというバニティメトリクス(他者に向けて一見ポジティブで見栄えがいいが、実際の成果やパフォーマンスに関しては約に立たない尺度や指標)は、ある意味、偽りの神だった」
「この人たちには何もすることがない…すべて見せかけの仕事だ」と彼は続けた。
「今これは暴露されつつあるが、この人たちは実際に何をしているかというと、集会に参加しているんだ」
C3.aiのCEOで億万長者のトーマス・シーベル(Thomas Siebel)は、2023年、「グーグルとメタはスタッフを過剰雇用しており、彼らに十分な仕事がない」と述べている。
「彼らは在宅勤務で本当に何もしていなかった」と彼は話した。
「パジャマのままで4日間働くような在宅勤務がしたいなら、フェイスブック(Facebook)で働けばいい」
テック企業の労働者の中には、「基本的に仕事を見つけるために戦わなければならなかった」と言う人がいる一方で、会社が過剰に雇用し、経営陣が労働者に単純な仕事を割り当てて、労働者が必要であるかのように錯覚させていたと言う人もいる。
メタやグーグルなどのテック企業は近年、数千人規模のレイオフを実施しているが、その理由は多くの場合、効率化だ。
メタのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは、2023年を同社の「効率化の年」にすると宣言し、「管理職が管理職を管理する」という肥大化した組織構造に嫌悪感を示した。またグーグルCEOのサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)は、2022年の全員参加の会議で、「我々の生産性は全体として、現在の人員数に見合う水準に達していないことを懸念している」と従業員に述べたと報じられている。