東京証券取引所内にあるティッカーの電光掲示板「マーケットセンター」。
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- 日経平均は国内の上位225銘柄を基に算出される、構成銘柄の株価の平均値だ。
- 「失われた30年」と呼ばれ、長く低迷していたが2024年2月22日、34年ぶりに過去最高値を更新した。
- 日経平均株価に投資するなら、やはりインデックスファンドが良い。
投資家でなくても日経平均株価は聞いたことがあるだろう。
日本市場の動きを表す重要な指標であり、225銘柄で構成されることから、海外では「Nikkei 225」と呼ばれる。225銘柄の平均値で算出されるため、株価水準の高い銘柄に左右されやすいのが特徴だ。
本記事では日経平均株価の特徴と特定銘柄の寄与度について解説する。
日経平均株価とは何か?
今年2月にバブル期の最高値を更新し3月には4万円を突破した日経平均株価だが、そのルーツは1950年に公表が開始された東証修正平均株価にある。69年に東証株価指数(TOPIX)の公表が始まったことで、東証修正平均株価の運営が日本経済新聞社に移り、その後幾度の名称変更を経て、85年に現在の「日経平均株価」という名称になった。
日経平均は国内の上位225銘柄を基に算出される。225銘柄は幅広い業種から選ばれた流動性の大きい上位銘柄だ。そして「株価平均型」の考え方に基づいており、ごく単純化して言えば構成銘柄の株価の平均値として算出される。
そのため、後述する通り、株価の大きい「値がさ株(株価の高い株式のこと)」の動きに影響されやすいという特徴を持つ。ちなみに海外では、225銘柄が基になっているため「Nikkei 225」と呼ばれる。
30年以上も株価が低迷
最近の日経平均は活況を呈しているが、これまでは日本経済同様に長く低迷が続いていた。終値で見ると1989年12月29日の最高値である3万8915円87銭を更新したのは2024年2月22日のことで、実に34年以上にわたって更新できていなかったということになる(下記チャート参照元)。
2002年には8000円台を推移し、その後回復の兆しが見えた。だが、リーマンショックもあって2009年3月10日には、終値としてバブル崩壊後の最安値である7054円98銭を記録している。2013年にやっと1万円を超えるようになり、2017年の末以降から安定して2万円以上を推移するようになった。現在では、3月22日に終値の史上最高値4万888円43銭をマークしてから、3万円代後半で落ち着いている。
日経平均40年間の推移。1990年代からの失われた30年が如実にわかる。
出典:Google Finance
バブル崩壊後における日本経済の低迷は「失われた10年、20年、30年」と年数が経つ度に言葉も更新された。当初の原因はやはりバブルで抱えた不良債権であり、バブル崩壊後は多くの銀行が倒産し、統合も進んでいった。バブル期を原因とする不良債権自体は1997年に処理し終わったとされているが、マインドがその後の成長を止めたといえる。
少子高齢化や新興国の台頭が進むなかで、企業の経営陣は新たな分野への投資を恐れ、2000年を基準とした場合のIT関連投資や研究開発投資は他の先進国より低い水準を推移した。異次元の金融緩和は企業の存続率を高め、雇用の安定化にも貢献したが、企業の新陳代謝が進まず、非正規雇用に頼る体質を定着させてしまったと言えるだろう。
ここ10年でようやく回復基調に
一方で近年の推移は好調だ。コロナ前の段階で日経平均は2万円台を推移し、コロナショックで一時下回ったものの、現在では3万円台後半を推移している。特に3万円を超えた2023年の後半からの推移が著しい。主な要因は国内企業の業績にある。
過剰な円安は物価高をもたらした一方、自動車を軸とする輸出産業にとって追い風となり、関連企業の業績は好調である。小売や飲食などのBtoC企業もリベンジ消費に支えられて業績は回復した。原材料費や人件費高騰の回収を目的とする値上げも企業の利益を押し上げている。
他の要因としては、世界的な株高に伴う対日投資の増加、地政学リスクや不景気を考慮した投資の脱・中国シフト、新NISAの導入などが挙げられる。
寄与度が大きい特定銘柄
前出の通り日経平均は「値がさ株」に影響されやすい。日ごとの寄与度はその日の値動きに影響されるため変動するが、インデックスファンドの構成比率を参考にすると概ね次の通りだ。
- 1位、ファーストリテイリング…10%
- 2位、東京エレクトロン…7%
- 3位、ソフトバンクグループ…4%
- 4位、アドバンテスト…4%
- 5位、KDDI…3%
上位5銘柄で28%、10銘柄で4割弱を占める。現時点で10%以上はユニクロのファーストリテイリングだけであり、その規模の大きさが分かるだろう。
日経平均株価に投資するには?
日経平均株価に連動した投資成果を求めるなら、やはりインデックスファンドが良い。「日経平均株価 投資信託」と検索すれば様々な商品が表示されるはずだ。
そんなインデックスファンドには、三菱UFJアセットマネジメントやニッセイアセットマネジメントなど、様々な運営会社が提供するものがある。どれも各企業の寄与度を考慮して構成銘柄が組み立てられているため、大きな違いはないう。近年の推移も日経平均と概ね同じだ。実質報酬などを考慮したうえで、自分の環境で買いやすいもの選ぶと良い。
また、ファーストリテイリングやソフトバンクなど、日経平均への寄与度が大きい個別株を直接買うことを考える人もいるかもしれない。リスクを取るなら、そういう判断もありだが、安心を取るならやはりインデックスファンドがベターだ。
まとめ
以上、日経平均株価の仕組みとその歴史について解説した。
バブル崩壊以降、日本経済の低迷とともに日経平均も長いあいだ低迷を続けた。直近では賃上げが続き、円安もプラスの影響が大きいため高値を推移している。インデックスファンドを通じて日経平均に連動するよう投資することも可能である。
だが一方で、近年の株高は米国市場や世界景気の好調に支えられている面も多い。国内の株高がいつまで続くか不透明なため、投資する際は国内一択ではなく、やはり米国型/オルカン型投資信託も選択肢に入れておきたい。