アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services、AWS)のアダム・セリプスキー最高経営責任者(CEO)
Noah Berger/Getty Images for Amazon Web Services; Chelsea Jia Feng/BI
アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services、AWS)のアダム・セリプスキー最高経営責任者(CEO)が退任する。
Business Insiderは独自ルートで入手した社内メールを通じて事前にこの人事を把握していたが、間もなくAWSがウェブサイトで発表した。
シニアバイスプレジデント(セールス・マーケティング・グローバルサービス担当)のマット・ガーマン氏が6月3日付で後任に就く。
アマゾン(Amazon)のアンディ・ジャシーCEOは5月14日付の従業員向けメールでガーマン氏をこう評価している。
「マット(・ガーマン氏)は、当社の顧客とビジネスを世界中の誰より知り抜いています。同時に、製品と需要創出の分野で最高幹部としての実績を積み重ねてきた人物でもあります」
退任するセリプスキー氏は、動画再生ソフトウェアで一時代を築いたリアルネットワークス(RealNetworks)から2005年にAWSに移籍。
マーケティング・セールス担当のバイスプレジデントとして手腕を発揮した後、データ分析プラットフォームのタブロー・ソフトウェア(Tableau Software)の経営トップに転身(同社は2019年にセールスフォース傘下入り)した。
AWSに復帰したのは2021年。それまで同社CEOを務め、直後に本体の経営トップに就任したジャシー氏からAWSの舵取りを引き継いだ。
AWSの共同創設者の一人で、その後の成長をけん引したシニアバイスプレジデント、チャーリー・ベル氏との間に確執があったことはBusiness Insiderが過去記事で繰り返し報じた通りだ。ベル氏は現在、マイクロソフト(Microsoft)でエグゼクティブバイスプレジデントの要職を担っている。
セリプスキー氏がCEOに就任した2021年は、パンデミックの発生を受けリモートワーク(およびその円滑な遂行に必要なデジタルツール群)が爆発的に普及・拡大し、クラウドサービスへの需要が急拡大していく最中だった。
しかし、社会経済の正常化を経た2023年にAWSの成長は鈍化し、セリプスキー氏の就任直後に30〜40%程度で推移していた売上高成長率は、2023年第2四半期(4〜6月)、第3四半期(7〜9月)には10%台前半という記録的な水準まで落ち込んだ。
なお、ごく最近について言えば、AI(人工知能)ブーム到来の影響でクラウドサービスへの需要は再び高まっており、売上高成長率にも足元で改善の兆しが見られる。
前出の社内メールおよびAWSの発表によれば、セリプスキー氏は退任を機に充電期間を取るという。
「ビジネスおよび経営チームの(堅調な)現状を踏まえれば、今こそがCEO交代に絶好のタイミングであり、同時に私自身にとっても、家族と過ごす時間を取って回復を図り、いくらか心の余裕を作って自分と向き合いつつ、今後の可能性を検討するのにふさわしい時期だと考えています」