ゼンハイザー「MOMENTUM Sport」の実力は? 耳から心拍や体温が測れる新感覚ワイヤレスイヤホン

MOMENTUM Sport

バイタルセンサーを搭載したゼンハイザーの「MOMENTUM Sport」。装着時に心拍数、体温が計測できるワイヤレスイヤホンだ。

撮影: 山本敦

左右独立型ワイヤレスイヤホンは今や、単なるオーディオ機器という枠組みを大きく越えつつある。

筆者はオーディオライターとして年間200機種前後のイヤホンを取材しているが、スマホのような高性能なSoCを搭載したオーディオを使い、さまざまなセンサーからの情報を処理することで、新たな価値や使い方を提案してきている。

4月9日にドイツの老舗オーディオブランド・4月9日にゼンハイザーが発売した「MOMENTUM Sport」もその1つだ。

イヤホンながら心拍数と体温が計測できるMOMENTUM Sportの機能の詳細や特徴に触れつつ、独立型ワイヤレスイヤホンの今後の展望も考察してみたい。

半密閉構造を採用するも、ノイキャン効果は十分

MOMENTUM(モメンタム)は、ゼンハイザーによるポータブルオーディオ製品のフラグシップが継承するシリーズ名だ。

プレミアム音質のフラグシップ「MOMENTUM True Wireless 4(MTW4)」も同時期に発売され、いずれの製品も高品位なアクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)と外音取り込み機能を搭載している。

MOMENTUM Sportはイヤホン単体で約6時間、ケースによる充電を併用すれば約24時間の連続使用が可能。直販価格5万6500円(税込)という、ワイヤレスイヤホンの中では高価なプロダクトになる。

そんな高価格帯の本機が「スポーツイヤホン」を銘打つ理由は2つある。

1つはセミオープン型(半密閉型)という、パワフルな音を聞きながら自然に外部の音が取り込める本体構造を採用していること。

屋外のスポーツ施設でランニングやウォーキングをしながら音楽を聴きたい時に、密閉型のノイキャンイヤホンよりも安全に使える。外音取り込み機能を併用すればなお実用的だ。

装着例

耳にピタリとフィットする装着感。自然に外部の音が聞こえるように半密閉構造を採用している。

撮影: 山本敦

MOMENTUM Sportは本体の外殻に、内蔵する10mmドライバーを力強く動かすために必要な「空気の通り道」にもなる小さな孔がいくつかある。

同時発売で密閉構造のMTW4と比べると、MOMENTUM Sportはノイキャン効果は少し浅めだが、バスや地下鉄の走行ノイズなどもしっかりと抑えてくれた。

音質については、従来のMOMENTUMシリーズから解像度が高く自然なバランスを受継ぎつつ、低音の印象を引き立たせたエネルギッシュなサウンドが魅力だ。

イヤホン本体はIP55相当の防じん・防水対応なので、汗ぬれや雨ぬれ対策も万全。

充電ケースもIP54相当の防じん・防滴対応で、ワイヤレスイヤホンとしてはそこまで多くはない仕様で魅力的だろう。

2種類の方法で心拍・体温データを活用

アプリ

ゼンハイザー「Smart Control」の画面(左側)。心拍と体温を常時表示するが、データを記録・保存する機能はない。「スポーツセンサー」を開いて「Polar Flow」アプリにリンクする(右側)。

画像:筆者によるスクリーンショット

「スポーツイヤホン」と名乗る2つ目の理由が、心拍・体温計測に対応したワイヤレスイヤホンであることだ(ただし本機は医療機器ではない)。

左右独立型のワイヤレスイヤホンで、心拍だけでなく体温も測れるイヤホンは本機が初めてではないが、ゼンハイザーのようなメジャーブランドの中ではトップバッター的な存在だ。

MOMENTUM Sportは、左側のイヤホンに2種類のバイタルセンサーを内蔵している。心拍と体温の情報は毎時リアルタイムに計測を続けており、オフにはできない。

バイタルの計測値を確認する手段はいくつかある。1つはゼンハイザー独自のモバイルアプリ「Smart Control」から、iOS/Androidのスマホで確認する方法だ。

Polar Flowアプリ

Polar FlowアプリではMOMENTUM Sportアプリで計測した心拍と体温の記録をトレーニングのデータとともに残せる。

画像:筆者によるスクリーンショット

もう1つの方法は、ゼンハイザーがMOMENTUM Sportで初めてコラボしたフィンランドのフィットネスブランド・Polar(ポラール)のアプリ「Polar Flow」を使うこと。

ゼンハイザーのSmart Controlはバイタル情報が「アプリ上で見られるだけ」だが、Polar Flowはイヤホンで計測した心拍と体温の両方の記録がアプリに残せる。

Polarのスマートウォッチやフィットネスバンドのユーザーであれば、耳で計測して、手首でデータを見ながらトレーニングができる。

さらに、海外ではPolarのエアロバイクなどトレーニング機器とイヤホンを連携させる機器環境がある。

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