ブリッジマンズ・サービスグループは、クルーズ船を労働者の「フローテル」に改装したホテルを運営している。
Jeff Vinnick, Bridgemans Services Group
- ブリッジマンズ・サービスグループは、クルーズ船を労働者のための宿泊施設に改装して運営している。
- 「フローテル」は、建設や映画撮影など長期にわたるプロジェクトに参加する労働者のために設計されている。
- ゲームルームやブッフェも備え、最大で652室の船もあるという同社の施設を見てみよう。
古くなって使えなくなったクルーズ船は、解体され、一部の部品が販売されたりすることがほとんどだ。しかし、得意なことを再び行うチャンスを与えられ、幸せな運命をたどる船もある。例えば、水上ホテルとして。
カナダを拠点とするブリッジマンズ・サービスグループは、クルーズ船を購入して、毎日のハウスキーピングやブッフェ、ラウンジなどを備えた「フローテル」に変えている。
しかし、そうなると、その船はすでに旅行者を目的地に運ぶためのものではない。その代わり、ヨーロッパでの洋上風力発電所の建設や、人里離れた場所での大作映画の撮影など、長期プロジェクトに携わる人々の宿泊地が必要になる際、企業はブリッジマンを頼る。
フローテルは、ホテルが選択肢としてないような人里離れた場所で、人々のための宿泊場所になる
企業は船を長期間チャーターする。
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大都市圏では、船であることは、労働者の殺到によって現地の住宅市場で生まれるストレスを緩和する可能性があるとブリッジマンズは語っている。
そして必要がなくなれば、その船は跡形もなく、去っていくのだという。
過去10年間で、ブリッジマンズは各大陸で15のプロジェクトを展開したと、同社のブライアン・グランジCEOはBusiness Insiderに語った
以前はクルーズ船だった船は、すでに上下水道、ホール、バスルーム付きのベッドルームなど必要な設備が備わっている。
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ブライアン・グランジ(Brian Grange)CEOによると液化天然ガスの企業への提供が最も多く、その期間は平均で2年間になるという。
過去には、オーシャン・ケイのプライベートアイランドでMSCクルーズへ宿泊施設として提供したほか、パンデミック中にフィリピンのマニラ国際空港のプロジェクトで1000人以上の労働者にベッドを提供した。
同社の3つの船の客室は、150室から652室ある
「イザベルX」は建設現場に停泊し、労働者が歩いて仕事に行けるようにした。
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フローテルを運営する同社は2023年、同社で最大となる長さ561フィート(約170m)の「MVイザベルX」を購入した。エストニアのタリンク・グリップ(Tallink Gruipp)社のクルーズ船として、バルト海周辺を35年間航海した船だ。
だが、レジャークルーズの時代は過ぎ去った。総トン数3万5000トンのこの船は現在、バンクーバーの北部にあるホウ・サウンドで、ウッドファイバーLNGの「ネットゼロ」液化天然ガス輸出施設を建設中の600人以上の労働者を収容している。
「イザベルX」はホウ・サウンドに向かう前、6カ月をかけて改装された
「MVイザベルX」のダイニングルーム。改装前(左)と改装後(右)。
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改装のプロセスには、船内の客室の改装とゲームルームや8000平方フィート(約743平方m)のジムなどの設備の追加が含まれている。
特に最後の2つは重要だ。「我々は仕事と家庭の境界線をしっかり引く必要がある」とグランジはBusiness Insiderに語った。
「船内に、世界中の労働者を魅了する社会環境を作らなければならない」
労働者は自由時間にビリヤードで遊んだり、アウトドアラウンジでリラックスしたり、船内のWi-FiでSNSを確認したりできる
船内には、景色のよい複数のラウンジやゲームラウンジがある。
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スポーツラウンジには大型TVスクリーンがあり、ゲームラウンジにはダーツ、卓球台、エアホッケー台などがある。
「クワイエット(静かな)ラウンジ」は、長い労働から戻り、リラックスが必要な人がよく行くスペースだ
「イザベルX」では、燃料やエンジンより環境に良いと広く考えられている電力による航行機能など、環境に良い形にアップグレードされている。
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あるいは、デスクや収納スペース、32インチTVなどを備えた船室でリラックスしたり、TV番組を見たりできる。
一般的なクルーズ船と同様に、ブリッジマンズの船には、オープンキッチンやデザートバー、テーマを設けたイベントにも対応できるブッフェがある
「イザベルX」はコック、ハウスキーパー、安全システムのオペレーターを含む70人のクルーを収容することができる。
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船のシェフは、船に乗る労働者の層や食事制限にあわせてメニューを調整しているとグランジCEOは語った。
利用者は、少なくとも4種類のタンパク質、豊富な野菜、手作りのパンやデザートを楽しめるという。
多くのクルーズ船とは異なり、ブリッジマンズは利用開始前に必要なすべての食料を事前購入することがある
「イザベルX」の内部は、VIPダイニングルームなど45万平方フィート(約4万2000平方m)もある。
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グランジは、それによって人里離れた場所でも、食事のクオリティと一貫性を維持できると話している。
前述したコロナ禍にフィリピンで展開したときには、プロジェクト開始前に800トン近くの食料が詰め込まれたという。
ブリッジマンズの船の貸し出し料について、CEOは明らかにしていない
ブリッジマンズは、遠隔地での導入に割増料金を請求する。
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だが、主要都市近郊での多くのプロジェクトと同様に、ホウ・サウンドでのウッドファイバーLNGプロジェクトでのコストは、近くの都市、バンクーバーのホテルと同等だという。
同社が最近買収した150室の「ダイアモンドXI」は現在改装中で、2024年に使用可能になるという
ヨーロッパで改装中の「ダイアモンドXI」。
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グランジCEOによると、この船は小型かつハイエンドで、スポーツイベントや映画撮影などにも使えそうだという。
そして、拡大に向けての大きなスタートでもある。彼は、今後5年間で2隻または3隻の船を追加したい考えだ。
「世界は住宅に代わる価値のある選択肢として受け入れている」と、グランジは語った
同社は現在、水上に2300室を持っていると、ブリッジマンズのグランジCEOはBusiness Insiderに語った。
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停泊しているクルーズ船を見たとき、そこにいるのは旅行客ではなく労働者である可能性が少なからずあるだろう。