マイクロソフト(Microsoft)のサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)。
Justin Sullivan/Getty Images
マイクロソフト(Microsoft)は従業員に対し、同社の「Azure OpenAI」を利用したAI検索エンジンを提供する「Perplexity(パープレキシティ)」へのアクセスを禁止している模様だ。
同社の内情に詳しい複数の関係者への取材から判明した。
Azure OpenAIは、マイクロソフトのセキュアなクラウド上でOpenAIが開発した大規模言語モデル「GPT-4」などを使用できるサービス。
ウォルマート(Walmart)やJPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)らは同サービスを利用して、社内業務や製品にジェネレーティブ(生成)AIを導入している。
最近では4月23日、Azure OpenAIを含む生成AIおよびクラウドを活用した取り組みの加速について、飲料大手コカ・コーラとの戦略提携に合意したと発表。同社は5年間で11億ドルを投じるという。
冒頭に登場したPerplexityもこのAzure OpenAIの主要顧客の一角だ。
日本ではまだ認知度の高くない検索サービスだが、4月23日には日本の通信大手ソフトバンクとの提携を発表。
日本経済新聞(4月24日付)によれば、Perplexityはソフトバンクのユーザーに対し、利用量に制限のない有料版の1年間無償利用権を提供するなど、日本での普及促進を進めるという。
Business Insider編集部は、マイクロソフトの従業員用端末からPerplexityにアクセスした際に表示された制限(ブロック)通知のスクリーンショットを独自ルートを通じて確認した。
この制限がいつ始まったのか、社内全体に制限が適用されているのかは不明だ。マイクロソフトにコメントを求めたが得られなかった。
さらに、従業員の端末からのアクセス制限の対象となっているのはPerplexityだけではなく、関係者の証言によれば、グーグル(Google)の対話型AI「Gemini(ジェミニ)」など他のAIツールもブロックされているという。
従業員のAIツール利用に制限をかける企業が多い中、マイクロソフトは顧客や提携先の提供するツールに関しては緩めの対応を基本路線としてきた。
2023年9月、同社はOpenAIの提供する「ChatGPT」への従業員のアクセスを一時制限したが、その後「複数の大規模言語モデルに対するエンドポイントセキュリティのテスト」に起因するエラーだったことを説明し、全従業員が使用できるよう回復したと発表した。
なお、外部のAIツールへのアクセスを制限しているのはマイクロソフトだけではない。
例えば、アマゾン(Amazon)社内のサードパーティー製生成AIの利用に関するポリシーは、同社の従業員がChatGPTのようなAIツールに入力したプロンプト(指示・命令)などについて、ツールを提供する企業側にライセンスもしくは所有権が帰属するケースがあると警告している。