Galaxy S24 Ultraカメラレビュー:生成AIによる写真編集機能の実力も探る

Galaxy S24 Ultra

AI機能が特徴的なGalaxy S24 Ultraのカメラ性能・写真機能を見ていく。

撮影:林佑樹

グローバルに続き、日本国内でもサムスンの新型フラグシップスマホ「Galaxy S24 Ultra」が発売された。

直販価格はメモリー12GB・ストレージ256GBの最小構成で18万9700円(税込)。直販サイトのほか、NTTドコモやKDDIでも販売されている。

カメラ性能的にはほぼ2023年発売の「Galaxy S23 Ultra」と変わりはないが、「Galaxy AI」の搭載もあって注目が集まっている。今回は日常撮影で性能を確認しつつ、Galaxy AIによるフォトアシストについてもチェックしていく。

4つのカメラや多彩なモードを使い分ける

Galaxyのカメラの写真に対する味付けは、端的に言えば「分かりやすくキレイ、分かりやすく盛りました」という印象だった。デジタル一眼並みやフィルムライクであるとか、そういった流行りからは少し外れたところにあった。

こうした印象はGalaxy S23 Ultraから、やや大人しくなっていると筆者は見ている。2023年9月に発売された「Galaxy Z Flip5」を愛用する筆者としては、Galaxy S24 Ultraを試してみて「とても無難になった」という印象を抱いている。

まずは背面カメラを見ていこう。

見た目は5つあるが、実際に撮影用のカメラとしてふるまうのは4つ。残るひとつはレーザーAF(オートフォーカス)用のセンサーになる。

カメラスペック

Galaxy S24 Ultraのカメラ構成。

出典:サムスン

超広角が12MP、広角が200MP、光学3倍ズームが10MP、光学5倍ズームとデジタル10倍ズームが50MPと種類が多い。

これらのセンサーをフルに活用するには記録画素数を12MPに設定する必要がある。50MPに設定すると、広角と光学5倍ズームの2つのモードで、200MPに設定すると広角のみで撮影可能となる。

スペックに対し、基本的に12MPでの保存になるのは物足りないのだが、日常的にサムネイルで写真を閲覧するSNSや、たまにプリントアウトであれば12MPで十分であるため、よい落としどころだ。

青空の作例

青空は劇的に真っ青にはならないが、他のスマホに比べるとかなり青くなる。なお、写真は東北大学金属材料研究所の花見時のもの。

撮影:林佑樹

とはいえ、200MP(2億画素)が目を引く。設定次第で、200MPでの撮影もできるが、使える機能も絞られてくるだけでなく、標準設定時の方が無難な写りであったため趣味性が強い機能と割り切っていい。

デジタル2倍ズームはクロップ(切り抜き)しているだけのようだが、デジタル10倍ズームとデジタル30倍、100倍ズームはAIによる補正がかかっている。

ズーム比較

写真上段左から広角、光学3倍ズーム。下段左から光学5倍ズーム、デジタル10倍ズーム、デジタル30倍ズーム、デジタル100倍ズームの例。デジタル10倍ズームからディテールが細かいモノに弱いことがわかる。また、デジタル30倍ズームとデジタル100倍ズームは遠くの文字やざっくりした形を知りたいときに便利。

撮影:林佑樹

広角の作例

メインとなる広角は良好な描写で、シーンを選ばず使える。50MPで撮影しておけば、トリミング耐性もある。

撮影:林佑樹

色合い

光学5倍ズームも広角との色合い差もなく、使い勝手がいい。

撮影:林佑樹

電柱の作例

当然ながら光学5倍ズームは電柱の撮影にも重宝した。いい被写体を見つけた時、満足のいく解像感でサッと撮影できるのはよいことだ。

撮影:林佑樹

Galaxy S24 Ultraだけでなく、最近のGalaxyは「インテリジェント最適化」がデフォルトで有効化されている。その代わり被写体を認識して効果を自動適用する「シーン別に最適化」は無効にしている。

「シーン別に最適化」が無効になっていても、料理をおいしく見せたり、「映える」風景にしたりする自動補正は十分に効いているので、わざわざ有効にする必要はない。

また、夜景や食事の際は別途「ナイトモード」と「食事モード」もある。

なぜこんなにもモードが乱立しているのか疑問が残るが、夜景撮影時は「インテリジェント最適化」機能でも十分効果的。逆に、「食事モード」はより分かりやすく「おいしく見える」のでおすすめだ。

超広角の作例

超広角。「インテリジェント最適化」によるものか、ちょっと塗った感じになるときがあった。Galaxy S24 Ultraの画面では気にならなかったが、PCモニターで見ると気になる。

撮影:林佑樹

夕焼けの作例

夕焼けも夕焼けらしくなる。

撮影:林佑樹

食事モードの違い

左がそのまま撮影したもの。右が食事モード。

撮影:林佑樹

ナイトモードの作例

ナイトモード。ちなみに、通常の撮影モードとの差はほとんどなかったのだが、夜空が増えると少し描写が変化しやすかった。

撮影:林佑樹

使い方によっては実用的なAIフォトアシスト

目玉機能とも言えるGalaxy AIのフォトアシストを見ていこう。

生成AI機能は被写体の移動と削除、写真を回転した際の余白分の補完時に利用されている。中には「補正」や「影の消去」など、クラウドではなく端末上で実行されているものもある。

精度はなかなかよいのだが、それはスマホ画面サイズの話でPCモニターで等倍で見てみるとすぐに違和感に気がつく。

また、一般的な生成AIのようにプロンプト(命令文)は使えないため、意図しない生成結果になるケースもあった。

いくつか試してみたので見ていこう。まずは被写体の削除だ。被写体の背景依存は当然ながらあって、均一なソースがあれば良い感じの生成になる。

削除前の作例

左下の人物を消すことにした。

撮影:林佑樹

被写体選択

被写体の選択は人間であればほぼ外れなくタップするだけで範囲選択してくれる。細かな調整をしたいときはSペンの出番だ。

撮影:林佑樹

生成結果

看板らしきものが生成された。リトライしても結果は変わらなかった。また、被写体の移動の場合も同様だった。

撮影:林佑樹

青空の作例

写真左から生成前、生成後。こういったパターンであればキレイに生成される。もちろん、拡大してみると桜におかしなところは多々ある。

撮影:林佑樹

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